マイクロ波による球状トカマクの形成

5GHz, ~200kWのマイクロ波を用いて、20kAのプラズマ電流を立ち上げて、マイクロ波により球状トカマク形成が可能であることを示しました。特に、高いN||(磁力線方向の屈折率)を持った電子バーンスタイン波により、自己誘導に抗してプラズマ電流を上昇させることが出来ることを示しました。
[M. Uchida et al. 2010 Phys. Rev. Lett. 104 065001]

Microwave Spherical Tokamak (5GHz, 190kW)

 

遮断密度の10倍の電子密度領域での球状トカマク形成

マイクロ波で電子を加熱する際、電磁波モードの波は、プラズマ遮断密度(マイクロ波の振動数=プラズマ振動数)を超える密度のプラズマを伝播できません。これに対し、静電波モードである電子バーンスタイン(EB)波は、伝播と吸収に密度上限を持たないため、プラズマ遮断密度を超えるプラズマの加熱が原理的に可能です。LATE装置では遮断密度の10倍の電子密度領域のプラズマの生成と維持がEB波単独で実現できることを示しました。

High Density Plasma (2.45GHz)

 

電子バーンスタイン波の直接観測

静電波モードである電子バーンスタイン(EB)波を用いて電子を加熱するためには、入射した電磁波モードのマイクロ波をプラズマ中にある高域混成共鳴(UHR)層でモード変換する必要があります。しかしながら、理論通りにモード変換されているかどうか、トーラス磁場配位で実際に波の電場を直接測定して確かめた例は、これまでありませんでした。LATE装置では2次元可動式の静電プローブアンテナを開発し、初めてEB波の波動パターンを観測しました。

EBW Direct Detection

 

重イオンビームプローブによる空間電位計測

電子サイクロトロン共鳴加熱によって生成・維持されたマイクロ波球状トカマクでは、エネルギーの高い非熱的な電子群が形成され、非等方的な圧力分布で磁気面からずれた電流分布を持った平衡配位となります。このようなプラズマの空間電位分布を重イオンビームプローブで測定し、電子温度程度の大きさの正の電位を持ったポテンシャル丘が電子サイクロトロン共鳴層を中心に形成されていることがわかりました。

HIBP Space Potential Measurement